2匹の蝶々


「山坂くんにちゃんと返事したよ。」


あたしは家で、ソファでくつろいでる音に向かって言った。


「ああ、そう」

音は体勢を変えて、あたしを見る。


「…気にならないの?」
「何が」

音の横に座る。


今日はまた、2人きり。

あの日と同じ。


「だから、何て返事したのか。」
「聞いて欲しいの?」
「な…」

音はあたしの頬に触れる。


「心が言いたいんでしょ?」
「ち…ちが…」
「いいよ。もう、分かってるから」


そして。


音はあたしの唇にそっと自分の唇を重ねた。


「い、ん…」
「そんな顔で見ないで」

目を反らす、音。


「な、んで…」
「そんな可愛い顔で見られたら…壊したく、なる。」

音はあたしを見た。


ドキッ…


壊すって…


つまり。

そうゆう事だよね。


『いいよ』

思わず、口にしてしまいそうになる。


これは、音が好きって事なの…??


あの日から。

あたしは変だ。

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