2匹の蝶々

「心…」
「音…」


愛しい行為が終わった後。


あたしと音は冷たい床で横になったままでいた。

音の腕枕は温かくて心地いい。


キーンコーン


「あ…お昼休み終わっちゃった…」
「…早いな」

音は寂し気に笑う。


あたしは乱れた制服を見つめる。


ゆっくりと起き上がってシャツのボタンを閉める。

「あ…」

床に落ちているリボン。


あたし、つけるの苦手なんだよね。


「心。俺がリボンつけてあげるよ」
「え…」


そして音ははだけた制服のまま、あたしにリボンをつけた。


シュル…


「また逆再せ…いやいや」
「もうっ…ありがと」
「心は蝶々結びが苦手だよね小さい頃から」
「そうだね…」


音には何でもお見通しだ。


「ねえ、心?」

座ったままスカートのシワをのばすあたしに問いかける音。


< 57 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop