2匹の蝶々
俺は答えの出ない疑問をつくったまま、教室に入った。
教室には誰もいなかった。
「…体育か」
こんな気持ちのまま体育でシャカリキに体を動かせるわけがない。
俺はまた出そうになるどうしようもない涙をこらえて机に突っ伏した。
「心…」
愛しい名前を呼ぶ。
返事なんてある筈ない。
のに…
「なあに??」
あれ?
おかしいな…
俺は夢でも見てるのか?
顔を上げてみる。
目の前には。
愛しい心の姿。
「…夢?」
「何、言ってるの?音。夢じゃないよ」
口に手を当てて笑う心。