2匹の蝶々
「あら、音。珍しいわね、出迎えてくれるなんて」
「…まあね」
今から、大事な話をしなくちゃいけないから。
リビングを覗くと、心は服を着たようだった。
よし、と俺は心の中で決心をする。
「お母さん。ちょっといいかな?」
「どうしたの?」
お母さんは靴を脱いでリビングに向かう。
「あ、お母さん…」
「ただいま、心」
「お、おかえり」
心は動揺しているようだった。
切なげに俺を見る。
…大丈夫。
大丈夫だから。
心には届いてるか分からないが、目で心に言う。
「話が、あるんだ」
俺はキッチンに向かったお母さんに言う。
「話??話なら晩ごはん食べてからにしましょう?」
エプロンを着けて、せっせと晩ごはんの準備をするお母さん。
「…大事な話だから。先にいい?」
「仕方ないわね」
お母さんはエプロンを外し、食卓の椅子に座った。