2匹の蝶々

「心?心はどうなの!?」
「お母さん…あのね、」
「違うでしょう?!心はそんな子じゃないでしょう?!」


お母さんは心のところへ行き、座っている心の肩をつかんで揺する。


「お母さん…痛いよ」
「ねえ、心…心は違うわよね??」

涙目で見るお母さんに心は躊躇いつつも、首を横に振った。


「…音が好きだよ」
「そ、んな…」

お母さんは手をダランと下げて俺を見た。

「音…あなた。心に何したの?」
「…本当に言ってもいいわけ??」
「教えなさい」


俺は椅子から立ち上がり、後ろから心の肩に手を置いた。

「音…」
「抱いたよ?」


心は顔を真っ赤にする。

お母さんも顔を真っ赤にする。


心は照れ。

お母さんは怒り。


「音!!よしなさい!!」
「言えって言ったのはお母さんじゃん」
「…音!!」

お母さんは俺のシャツをつかみ、目に涙をためながら叫んだ。


その、刹那。

「何、やっているんだ?」


お父さんが…

帰ってきた。


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