2匹の蝶々
お父さんは息を吐いた。
「そうか。なら、引っ越してやり直すか??」
ガタッ
「あなた、いいんですの!?音と心は…っ」
お母さんは椅子から立ち上がる。
「いいんだ。もう一度、チャンスを2人にやろう」
お母さんが最後まで言い終わらないうちにお父さんは言った。
お母さんは黙り、椅子に座り直した。
「お父さん…」
あたしは涙で潤んだ目でお父さんを見た。
お父さんはあたしを見て、真剣な顔で言った。
「でも、次はないからな?」
「っ…」
あたしは言葉につまり、音を見る。
「分かってるよ、お父さん。」
音はそう言った。
でも、あたしだけには分かった。