2匹の蝶々


「あれ、心。顔が真っ赤だよ?どうした?」

わざとらしく、意地悪に聞いてくる音。

…分かってるくせに。


「な…なんでもないっ」

あたしはプイッと顔を背けて早歩きで音から遠ざかる。

「心、待てって」

音はそんなあたしに簡単に追いつく。


追いついたところで、後ろから抱きしめられた。


トクン…トクン…


背中に音の体温と心音を感じる。


「心…」
「音…」

あたしは抱きしめる音の手に触れる。

暖かくて、優しい手。


あたしを包んでくれる。


「行こっか」

あたしから体を離して、その手をあたしに差し出す。


「うん」

あたしは笑顔でその手をとる。


いつの間にか、あたしの機嫌は治っていた。

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