2匹の蝶々
今の状況に伴うように、オレンジ色の夕日はどことなく淀んでるように感じた。
秋に近づいているからなのか、夕方の風は冷たい。
「音…これから、どうするの?」
不安気な顔をして、俺を見る心。
俺は心の頭を優しく撫でる。
「大丈夫。あるだけの金は持ってきたし、なんとかなる。」
「…うん」
それでも、不安そうにする心に…
俺はそっとキスをした。
「…音?」
「俺がついてるから。」
心は顔を歪めた。
「泣くなよ。」
「な、泣かないよっ」
心はムッとした。
「俺は心を泣かせるために家を出たわけじゃない。」
「…分かってるよ。」
心はそう呟くと、俺のシャツの裾をギュッと掴んだ。