恋愛一色
千尋の声がいつもより低く、怒りを表していた。

俺は頭を掻き、千尋のあとをついていく。


人気があまりない、静かな所で千尋は歩むのをやめた。


俺の方を振り返る、
まだ眉間に皺を寄せていた。



『怖いよ?千尋』



俺は冗談ぽく千尋に言うが千尋は顔色ひとつ変えない。



『やっぱりね、友達の言ってたことは本当だったんだ』



千尋は俺から視線をずらし、静かにこう言った。


俺は言っている意味がよく分からなかった。



『は?』



『昨日の夜、友達が響と知らない女を見たって言っててさ。なんかデートの約束していたみたいって聞いて、今日確かめにきたわけ』



これを聞いた俺は、だんだんと力が抜けていく。


まじかよ?
ありえねぇ。



『違うって!ただ買い物付き合ってって言われただけだって!』



『それでいいよって言ったんでしょ?』
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