恋愛一色
女は一度信用しなくなると、もう信用しない。


千尋の態度からこのことが伺える。


もう終わりか。
最後に賭けをしよう。


この言葉を言ったらこいつはまた俺を信用してくれるだろうか?



『俺は千尋が一番だよ』


ここはビルとビルの間の道。
空を見上げると、青空が見えるのはほんの少し。

静かな場所に俺が言った言葉が響く。


その言葉は雑音なんかでは消えなかった。


きっと千尋にも聞こえただろう。



『…本当?』



さきほどの表情とは一転し、いつもの千尋の表情に戻った。



…ばかじゃねぇの?



『うん、千尋だけだよ?』


俺は千尋の手を引き、
千尋を抱きしめた。


丁度よかった。
この場所で。


今なら何してもバレやしない。




『ごめんね?響…』



俺は千尋の顎を少し上げ、千尋に口づけをする。
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