恋愛一色
体を重ねるだけで気持ちよく寝れるならお安い御用だ。


いくらでも一緒に寝てやるよ。



お前が満たされるなら何回でもしてやるよ。




『出ようか』


俺は起き上がり、床に散乱した服を取り、着ていく。



そして乱れた髪をもう一度整え、ホテルから出て行った。



千尋は俺の後をついてくる。



外はまだだいぶ明るいが、俺は真美のことが心配だったので、早く帰りたかった。



いつも千尋と別れる場所まで千尋を送っていく。


『ねぇ響?あの言葉信じてもいいんだよね?』



千尋が俺の袖を掴み、俺の歩みを止めて、こう聞いてきた。



俺は後ろを振り返り、千尋に向かって微笑んだ。


『当たり前だろ?』



千尋は俺の言った言葉に安心したのか、照れくさそうに笑い、手を振って家がある方向に歩いて言った。




『ばいばい』


『うん、じゃあね』




千尋の後ろ姿を俺はずっと見ていた。
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