恋愛一色
そして俺の中の悪魔が顔を出す。




嘘に決まってんだろ。



俺は鼻で笑い、帰ろうとした。



『えっ響──?』



帰ろうとした時、遠くの方から大きな声で俺の名前を呼ぶ声がした。



俺はとっさに辺りを見渡す。



するとそこには懐かし人が手を振っていた。



『…さな?』



そこにいたのはさなだった。


さなは俺の方に近づいてくる。



くるくるに巻かれた髪の毛を揺らしながら。



『やっぱ響じゃん!久しぶりー!』



さなは興奮しているのか、道路全体に響き渡る大きな声で話しかけてくる。



千尋に聞かれたらマズい。



『あっうん、久しぶり』


俺は適当に返事を返し、帰りたかった。



『元気だった?』



だが、さなは話し続ける。


通行人が俺達を不思議そうに見ていく。


…うざいな。



見るなよ、関係ねぇだろ?
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