恋愛一色
俺は気づかなかった。
もうすぐで千尋との関係が崩れるなんて──…



『今から遊ぼうよ!久しぶりだし!』



さなは俺の手を握り、俺をどこかに連れていこうとしていた。


俺は拒むことができない。



『今から用事あるし…』


『いいじゃん!ねっ?』


頭を掻き、どうするか考えていた。



『さぁな…』



俺は困った顔をし、さなを止めた。


ゆっくりとさなが俺の方を向く。


さなは、とても悲しそうな顔をしていた。



『どうした?』


俺はそんなさなに心配をし、さなの顔を覗いた。


するとさなは怪しい笑みを浮かべ、俺の手を引き、『ひっかかった』と呟き、俺の唇を塞いだ。



突然のことだったので、俺はなにがなんだか分からなくなっていた。



さなの唇の感触が伝わってくる。



自然に閉じていく目。

さなの腰に手をあて、さなの接吻に応じていた。


この行為が、いけなかった───…
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