恋愛一色
彼女を見た瞬間、俺の心が奪われたと思った。


時が止まり、周りに色がなくなり、色があるのは彼女だけに見えた。


鼓動が速くなり、体が震えだす。



心が、気持ちが、体が、全てが──…



一瞬で彼女の虜になった。



春風に靡くセミロングの淡い茶色の髪の毛。
小柄な体。
ピンク色の頬。
そして…可愛らしい笑顔。



全てが完璧だと思った。守ってあげたいと思ったんだ。



『じゃあ自己紹介をしましょう!端から立って名前と一言だけ言っていってね』



先生は緊張しているのか、少し震えた声で言った。


これを聞いた俺は、また可愛いと思ってしまう。


なんで?

苦しい、息がうまくできない…



俺は呼吸を落ち着かせるため、下を向いた。



先生は俺の心を占領していく。



呼吸が整うと、俺はもう一度先生を見た。



…ドクン…




やっぱりだめだ…
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