恋愛一色
今思えば、自分が言ったこの言葉は強がりだったのかもしれない。



本当は忘れていない。
今でも両親を恨み、いつか復讐してやりたいと思っている。


だけど…そんなのはこれからの人生の中で凄くちっぽけなことだと思うんだ。



強がりかもしれない、
でも俺はお前がいれば十分だ。




『無理だ、俺は未だにあの母親の笑顔が忘れられない。…行くぞ、電車に乗り遅れる』




遥斗は再び歩き出した。


ちょうどその頃、雲に隠れていた太陽が顔を出し、再び地上に光を放った。




『ああ…』




やっぱり気にしているんだな。



遥斗に笑顔を戻すには…どうしたらいい?


どうすれば…遥斗の笑顔が見えるかな?




俺は先に歩いて行く遥斗の背中に向かって、こう投げかけた。



…もちろん声には出さずに、心の中で…
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