恋愛一色
しばらくして、スーパーの袋を両手に持った、和馬と淳が俺の家に来た。


『よし、行くか!』



辺りは薄暗く、街灯がやけに明るかった。



俺は遥斗のマンションを目指し、重たい荷物を持ち、歩いていく。



そしてインターホンを何回も鳴らした。




…ピーンポーン…



遥斗は一回のチャイムではなかなか出てこない。このことを知っていた俺は、何回も何回も、しつこいくらいに押し続けた。



『響、うるせぇって…俺行かないっつてんだ…ろ?』



不機嫌な表情を浮かべながら遥斗はドアを開けた。




『遥斗のために連れてきてやったよ』



遥斗は何がなんだか分からないようだった。




『久しぶり!遥斗!』


『遥斗元気だったか?』



『…は?』



ナイスリアクション。
まさに俺の計画通りだ。



『遥斗、大丈夫かよ?』


俺は遥斗の顔の前で手を数回振った。




…よし、大丈夫みたいだ。
< 140 / 313 >

この作品をシェア

pagetop