恋愛一色
久しぶりに綾を見ても、俺の中は何も変化はしなかった。


先生みたいに、顔が赤くなるわけでもなく、心臓が煩く鳴るわけでもなかった。



俺は早く帰りたかった。


『で?話って何?』



俺は綾を見下ろし、こう言った。


綾は下を向いて、なかなか話そうとしない。




『なにもないなら帰るけど?』



黙り込んだ綾を見た俺は、来た道に体を向け、帰ろうとした。



『あっ待って!』



すると綾が俺の腕を掴み、俺を引き止めた。



『何?早く言って』



俺はいつもより低い声で綾に向かって言う。


綾は俺を見上げ、静かに口を開いた。





『もう一回私と寝て欲しい』




この言葉を聞いた俺は、耳を疑った。


何言ってんの?正気かよ?



『は?』



綾は強い視線で真っ直ぐ、俺を見た。





『もう一回寝てくれたら、響に連絡しないし、忘れるから』
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