恋愛一色
遥斗の顔を見るのが怖かった。


静かな部屋が余計、俺を恐怖へと陥れる。



『響ってそんな軽い男だったか?』



『…さぁな…』



俺は外を見ながら言った。



『だから人間は信じれねぇ。』



俺は唇を噛み締めた。
何かが込み上げてくる。


眉間に皺を寄せ、上を見上げた。



『わりぃ…遥斗…』



俺の口から出た謝罪の言葉。
遥斗は受け入れてくれるか?



『別に俺が口出す事じゃねぇし、響の問題だろ?でもな…響…』



突然、遥斗が話すのをやめた。
俺は不思議に思い、遥斗の方を見る。



遥斗が次に言った言葉が、俺の中を駆け巡ったんだ…





『自分を大切にしろ』






俺の目から涙が溢れ、流れ落ちた。


遥斗の言葉が優しくて、俺の弱かった部分を洗い流してくれた気がしたんだ。



なぁ、遥斗?
あの言葉ってさ、俺たちが中学二年の時に、屋上で喧嘩したときに遥斗が言いかけた言葉なのかな?



俺さ、この言葉を聞いて、今までの過ちが、苦しみが、少し和らいだんだ…
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