恋愛一色
ちらっと先生を見ると、先生は視線を足元に落とし、俺の手を強く握った。


弾む心臓。
赤く染まる頬。


君を…捕まえたい。



『わりぃ、今大事な人と一緒にいるんだ。今度なんか奢るから許してくれ』



俺は先生を見て微笑んだ。

先生はえ?という顔を浮かべた。



『あ?んだそれ。まぁいいよ。今度奢れよな』



『さんきゅ。また連絡するわ』



俺はこう言って、電話を切った。


電話を切ると、聞こえるのは、雑音と、俺の心臓の音だけ。



『あの…沢村君…』



『泣かないでよ、なんか悲しいことでもあったの?』



『…元カレが結婚するみたいなんだよね…』



涙を目に沢山溜めて、先生は震えた声で言った。

大粒の涙が、落ちていく。



俺はその涙を指で触れた。



『元カレのこと…そんなに好きだったんだ…泣くぐらい…愛してたんだ…』



俺の質問に、先生はこくんと頷いた。
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