恋愛一色
俺は遥斗を追いかける。

『な?俺ってすげぇだろ?』



遥斗は相変わらず、無表情で歩いていた。



『はいはい』


でもさ?
こんな遥斗でも好きな人が出来たみたいなんだ。

その人は同じクラスの菊地唯。


彼女はとても可愛らしい人で、完璧な女性だ。
狙っている男は数知れず。
彼女から《友達になってほしい》って言ったそうだ。
遥斗は照れながらも俺に話してくれた。


遥斗が恋をした。

俺は少しだけほっとしたんだ。
遥斗はこのままずっと、人間を恨んで生きていくんじゃないかなって思っていたからさ。


遥斗に少し遅い、春が到来した。



俺は教室に着くと、一目散にある場所へと向かった。


それは先生がいつもいる、社会科資料室。


先生は日本史を担当している。


社会科の先生は、たいてい社会科資料室にいるからだ。


俺は少し薄暗い廊下を歩いていく。
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