恋愛一色
悔しさと虚しさが俺を包む。


俺は先生の顔を見ることば出来ず、机に置いてあった先生の飲みかけのコーヒーを見ていた。


白い湯気が出ているコーヒー。


その湯気が俺の心を覆い尽くしているみたいだ。


『沢村君…何か用事だった?』



先生は立ち上がり、一歩俺に近づいた。



『な…んでもない…』



あの生徒の誇らしげな顔が浮かんでくる。


…悔しい。
なんで?なんで?



悔しさが涙に変わって、目に溜まっていく。



先生の前では絶対に涙を流さない。


俺はこう心の中で誓い、必死に涙を堪えていた。


『…沢村君…』



先生は俺の異変に気づいたのか、軽く俺の頬に手を当てた。


その瞬間、我慢していた涙が、一粒…流れ落ちた。



…もうだめだ…



この時、俺は悟った。



先生で溢れている…
自分の中が…


その証拠に、俺は先生を抱きしめた。



昨日と同じ強さで…
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