恋愛一色
先生と密着していたい。

誰もいない社会科資料室で、俺は先生の体を強く抱いた。



『さ…わむ…らくん?』


『…先生…』



古びた本が俺たちを見守ってくれているような気がした。



…お願い…


先生を俺だけのものにして?



カーテンからちらちらと覗く明るい黄色の太陽が、俺たちを優しく包んでくれた…



だけど、その太陽はすぐに隠されてしまった。



黒い黒い…雨雲に。



俺は授業中も、ずっと先生のことを考えていた。


先生の温もり、先生の体の柔らかさ。


俺は思い出していた。


あの黄色の太陽も。



だが、今の天気はなんだ?


強い雨が、地上を濡らしていた。



さっきまでは小降りだったのに、俺たちが帰るころになると雨が強く降り始めた。



これは神様からの罰か?朝、先生を抱きしめてしまった罰か?



俺は雨雲を見ながら、そんなことを思っていた。
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