恋愛一色
『傘…ねぇよな?』


俺は隣で眉間に皺を寄せてたっている遥斗に確認をする。



『当たり前だろ?朝あんなにも晴れてたんだからよ』



…やっぱりな。そうだよな。



『走るしかねぇな?』



俺はカバンを頭の上まで持ち上げ、思い切り走った。


遥斗も何も言わず、俺の後をついてきた。



容赦なく雨は俺たちをびしょびしょにしていく。

まだ新しいローファーが一気に泥まみれになっていく。



駅まで全力疾走をする。


駅に着き、俺は雨の雫がたくさんついた制服を手で祓った。



『うっぜぇ…』



遥斗は髪の毛を掻きあげ、空を見上げた。


その遥斗の仕草に…一瞬だけ心が揺れる。



『今の遥斗かっこよかったぞ?惚れる勢いだし』


俺は遥斗を見て、手を叩いて笑った。



でも本当にかっこよかったんだ。



菊地唯にも見せてあげたかったよ。
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