恋愛一色
俺は先生の声が聞こえた方に体を向ける。


先生は信号を挟んだ道路の向こう側にいた。



『先生!』


俺は先生の元に向かおうとするが、生憎信号は赤だ。


赤い信号を睨み、舌打ちをする。



先生の方に視線をずらし、先生を見る。



照れくさそうに笑顔を浮かべる先生。



『…可愛い』



俺の顔が緩んでいくのがわかる。


ようやく信号の色が変わり、歩きだす人々。


今回は出遅れなかった。


近づいていく俺たち。



『待った?先生』



『ううん、待ってないよ。行こっか?』



先生は駐車場の方を指差し、歩いて行った。


俺は訳も分からず先生の後をついていく。



『乗って?』


ピンク色の普通車に鍵を挿し、先生は運転席に座った。


俺は言われた通り、助手席に座る。



『えっ…どこに向かうの?』



『私の家よ?』



…さらに速く…心臓は唸る。
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