恋愛一色
泣き止んだのか、先生はゆっくりと俺から離れていった。


そして強い眼差しで俺を見て、次の瞬間…


『響君…』


俺の名前を呼んで、先生からキスをしてきた。


軽く当たるだけの一瞬のキス。


俺は訳がわからなくなり、ただ呆然として立ち尽くしていた。



『え…』


先生は顔を真っ赤にして、笑った。



『私も好きよ、響君』



その言葉で、最悪な魔法が解かれた気がした。


闇の中の世界が、一気に明るい世界へと移り変わった。


俺はその先生の言葉に驚き、床にぺたんと座り込んだ。



『今…なんて…』


俺は先生を見上げて聞く。
先生は涙を一粒零し、またあの笑顔を見せてくれた。


俺の大好きな笑顔。



『私も好き。いつの間にか好きになっていた…』


先生が俺と同じ目線までしゃがみ、甘い言葉を俺に浴びせた。



手には汗。
目には涙。


目の前には君。



夢じゃないよね?
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