恋愛一色
美幸も俺の後についていき、見送りをしてくれた。



『美幸、今日は最高だったよ。これからもよろしくね』



『私もだよ、また明日学校でね』



俺たちは最後にキスをして、俺は部屋から出て行った。


部屋を出ると、忽ち先生の匂いが消え、都会の空気が悪い匂いに変わる。

それを感じた俺はため息を零した。


『はぁ…』



俺は唇に指先を当て、小さく頷いた。


嘘じゃない、と唇に触れた瞬間思った。



美幸のマンションから出て行き、遥斗の家を目指した。


途中俺は、俺と遥斗がいた施設の近くの道を通った。


すると、反対側の道に、ある人がいた。


『…菊地?』


そう、菊地唯を。
菊地唯は一人ではなかった。


暗闇ではっきりとは分からないが、学ランを着た、遥斗と同じくらい綺麗な人だった─…



この光景を見た俺はどうしたらいい?
遥斗に打ち明けるべきなのかな…


俺は自分の心に秘めたまま、一歩…歩き出した。
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