恋愛一色
聞いて欲しかった。
遥斗に…もっともっと…

『やっぱ美幸は可愛い!』


俺はそう言いながらため息を漏らした。



『あっそ…』


遥斗は鼻で笑う。

それだけで十分だ。
遥斗は言葉に出さないだけで、本当は祝福をしてくれているんだろ?


さんきゅ、遥斗。



最近、遥斗は本当によく笑うようになった。
学校でも、笑っていた。そんな遥斗の笑顔を見た女子たちが、遥斗の噂をよくしていた。

また遥斗の人気がアップしたようだ。


そんな異変に気づいていない遥斗は、暗くなった空を見て憂鬱そうな顔を浮かべた。


俺の願いは叶わなかったか。
太陽はすっかり見えなくなっていた。



俺はあることを思い出した。
そう、昨日のこと。

菊地唯を見たこと。


まだ遥斗に言っていなかった。

言うタイミングが見つからないんだ。


でも…言わなくちゃ…
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