恋愛一色
俺は体育の時間に言うことにした。


今日の体育は持久走だったが、当然遥斗と俺は走らない。


だって疲れるから。
そんなくだらない理由。

真っ暗な空の下を、俺たちは歩いていた。


今だ…今しかない…


俺はゆっくりと口を開けた。



『あっ俺、思い出したことある』



遥斗は俺を見て静かに言った。



『…何?』



『昨日、菊地唯を見た!』



『え?』



遥斗は驚いた表情を見せる。
もう後戻りなんか出来ない。
遥斗に言わなくては…



『先生の家からお前の家に向かっている途中に会った。あの場所は、俺達がいた施設の近くだったなぁ…』



俺は遥斗の目を見て言えず、前を見て言った。



『…唯は一人だったか?』



もしここで『一人だった』という嘘をついたらダメな気がした。

遥斗には真実を言った方がいいと思ったから。
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