恋愛一色
真っ暗になった空は余計黒さが増し、濁った汚い空になっていた。



『遥斗…会ったことあるのか?そいつに』



真面目に持久走をしている生徒達が俺達をどんどん抜かしていく。



『昨日な。ライバル心丸見えだったよ』



昨日?
じゃあ俺が美幸と会っていたときから、遥斗は悩んでいたのか?

遥斗に電話したとき、遥斗は一人で悩んでいたんじゃないのか?



どうして気づいてやれなかった?
なにしてんだよ…俺…



今更、遥斗に優しい言葉などかけられなかった…
ごめんな…遥斗…



『…幼なじみか…厳しいな…』



俺は唇を噛み締めて、こんな言葉しか言えなかった。


つくづくバカな俺だ。



『橘ー沢村ー!ちゃんと走れ!!』



体格のいい体育の先生が、俺達の名前を呼び、指示をする。


俺達は仕方なく走ることにした。



…俺の幸せを削ってもいいから、遥斗を幸せにして欲しい。


俺からのささやかなプレゼント──…
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