恋愛一色
最近ふと思うんだ。
この家にいても楽しくない、と。
やっぱり偽物の家族だからかな?


今さらだけど…
本当の両親に会いたくなってきた。



『行こ…』


俺は歩き出した。

愛しい人の元へと─…



先生のマンションに近づく度、鼓動が速くなり、歩くスピードも速くなる。


ポケットに突っ込んだ手が次第に汗で滲んでいく。



…そして、ついに来てしまった。


美幸のマンションに…



もう覚えたよ。
美幸の部屋番号。


俺はその部屋のインターホンを押す。



─ピーンポーン…



『はーい』


中から聞こえて来たのは、美幸の可愛らしい声。


ドアの向こう側に美幸がいる。



俺の体はソワソワと動き出す。



『…いらっしゃい』



ドアがゆっくりと開けられ、中から美幸が顔を出した。



『…いらっしゃいました』



…俺は美幸の部屋に入って行った─…
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