恋愛一色
黒の学ランに手や足を通していく。


そして学校指定ではないカバンを手に取り、またベランダに出た。



制服の早着替えは慣れたものだ。



『遥斗、行くぞ?』



『あぁ…あっそういえば…さっきお前の携帯鳴ってた』



遥斗は小さな声で携帯を指さして言った。



俺は携帯を見る。


確かにお知らせランプが点滅していた。


だが携帯を見ずに、部屋を飛び出した。




『どーせ女からだしいいや!』




『あっそ…』



遥斗は呆れた顔を見せて、階段を下りて行った。



…なぁ?遥斗?


俺…間違っているか?


間違っているなら間違っているって言ってくれよ。



おかしいなら、おかしいって言ってくれよ。



俺にはお前しかいない。

あんな仮の両親なんか必要ない。



お前が一番俺のことを知ってるだろ?
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