恋愛一色
俺は無神経でバカだから、美幸の気持ちを読み取ってあげれなかった。


美幸が今までしてきた恋愛は、俺が今している恋愛と同じだったのに─…


俺達の間に沈黙の時間が流れる。


でも手は握ったままだった。



『…ごめんね』



先に沈黙を破ったのは俺だった。
美幸の寂しそうな、悲しそうな表情を見ていたら耐えれなくなってしまった。


昔なんてどうでもいいや。
俺だって美幸に今までの恋愛を話していない。
だって自慢出来る恋愛をしていないから。


今があればいいよね?



俺はそっと美幸の肩を抱き、自分に抱き寄せた。


『…いいの…私こそごめんね…』



美幸は今誰のことを考えていた?


美幸の過去の恋愛を聞くのは…カウントダウンの時間が0になった時だった─…



…もう梅雨の季節。
雨は地上に降り注いでいく。


毎日が、遥斗が嫌いな雨模様だった。


…太陽はいつ顔を出してくれる?
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