恋愛一色
寂しいけれど、決して『寂しい』などと言わなかった。
甘えたりしなかった。

会えなくても、気持ちは一本の線で繋がっていると思っていたから。



俺はこのメールが相当ダメージが大きかったのか、その後の授業はやる気がしなかった。


ずっと上の空で、先生の話を右から左へと聞き流していた。



時計の針を見つめ、シャーペンをクルクルと回し、時間がすぎるのを待っていた。



そしてその日の帰り道、また神様が悪戯をした。

俺にではなく、遥斗に…


『帰るか、遥斗…』



俺は浮かない顔をして、遥斗にこう言った。



『…おう』



遥斗は俺に気を使ってか、これ以上何も言わなかった。


その遥斗の行為に、少しだけ救われたんだ。



下駄箱に行くと、めずらしく二つに結んだ菊地唯がいた。


遥斗は菊地唯を見ると、顔が少し赤くなる。


俺はそんな遥斗を見るのが好きだった。
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