恋愛一色
びしょ濡れになっていた遥斗はこの濁って汚い空を見上げていた。


俺は遥斗に近づき、傘を開き、差し出した。



そして一言、呟いた。



『…お疲れ』



遥斗に励ましの言葉や、慰めの言葉などかけてあげれなかった。


これは遥斗の恋愛だ。
遥斗自身で解決しなければならないから。



遥斗は立っていられなくなったのか、その場にしゃがみ込んだ。



『遥斗…大丈夫かよ?』


俺は遥斗の肩をぽんっと叩いた。



『…なんで…』



遥斗が空に向かって投げた言葉は、俺の胸までも苦しくさせた。


遥斗は恋愛には不器用だから…
遥斗はすぐに強がるから…



『遥斗、お前…頑張ったと思うぞ?そりゃ…キツイ結果になったかもしれねぇけど…』




何故こんな言葉しか言ってあげられなかったのだろう…



俺もまだまだ不器用だからかな…



俺の幸せな時間は…


ほんの少ししかなかった…
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