恋愛一色
俺達は靴を履き、学校に向かう。


肌寒い季節。


寒さで耳と手が痛くなる。


『なぁ、俺日曜日千尋と遊ぶんだ!』



俺は隣にいる遥斗に笑顔で話しかけた。


遥斗は一点を見つめ、歩いていた。




『…千尋?誰それ』



遥斗がゆっくりと俺に顔を向けて、眉毛をぴくりと動かした。



乾いて冷たい風が俺達を包む。



『知らねぇの?俺と同じクラスの平松千尋だよ!』




『知らねぇな。つか興味ねぇし』



遥斗はポケットに手を入れ、俺より先に歩いていく。


道に取り残された俺。



俺は遥斗のあとを追い掛けていく。



『まじで知らねぇの?千尋すげぇ人気じゃん!』



俺より少しだけ身長が高い遥斗を俺は見上げた。


遥斗は冷めきった目で俺を見下ろした。




『…知らねぇ』



こう言って遥斗は髪を掻き上げた。
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