恋愛一色
俺は暫くその場で小さく丸まり、涙を流した。


遥斗には俺みたいになって欲しくないから。



…遥斗はそれでいいと思っているなら、
俺は遥斗に口出していい資格なんてない。


俺は黙って遥斗の恋を見守った。



──…それから遥斗は杏ちゃんと順調に日々を送っていく。



でも俺は見逃さなかった。
遥斗がいつも視線を向けている先には必ず菊地がいるということを。


そんなことを知りつつも俺は何も言わない。



最近、俺は不安ばかりなんだ。
美幸と全然会っていないし、メールや電話すらしていない。

話したくて社会科資料室によく行ったりもしたが、いつも留守だった。


家に行っても、美幸の部屋は真っ暗。


もう…限界がきたのかな。



美幸を失いたくないよ。怖いよ、怖いよ─…



助けてよ… ねぇ…



毎日眠れない日々が続く。
俺の心は…また暗い色に染まっていく。




そして…この日がついに来てしまった…


美幸を失いたく…ない…
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