恋愛一色
遥斗が髪を掻き上げるときはキレたという証拠。


小さい頃からの癖で、俺はすぐに分かる。


だから俺は何も言わないようにするんだ。



俺達に言葉がないまま、学校に着いた。



『じゃあ帰りな』



俺が話しかけても遥斗は何も返事をせずに教室の中に入って行った。



『なんだ…あいつ』



愚痴を吐きたくても俺は我慢をする。


あれが遥斗自身なのだから。


あれが遥斗の性格なのだから。



俺は自分の席がある窓側の一番後ろを目指す。



俺の席の周りには和馬と淳がいた。




『おっ響じゃん!おはよ』


『今日屋上行く?』



俺はカバンを机の横に掛け、グラウンドを見た。



グラウンドには朝練を頑張っている千尋の姿が見えた。


千尋はテニス部のキャプテンだ。



ここまで聞こえるくらいの大きな声で後輩たちに指導をしていた。
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