恋愛一色
美幸の態度を見ていたら、もう分かるよ。


俺は込み上げてくる涙を必死に抑えた。


今泣いてしまったら、遥斗が菊地を迎えに行けない気がしたから。

遥斗は優しくて、友達思いだから…きっと俺を慰めてくれるから…


ちょっとくらい自惚れたってもいいよな?




『先生…』


『きっと菊地さんならここにいるはずよ、急ぎなさい』



美幸が車を停めた場所は、○○総合病院の前だった。


着いたころはもうすでに辺りは真っ暗で、病院は不気味さを漂わせていた。



『先生ありがと…響もありがとな!』



遥斗は勢いよく車から飛び降りて、病院の中に入って行った。



『頑張れ!遥斗!!』



俺は走る遥斗の背中を目掛けてこう言った。



病院の中に消えていく遥斗を…いつまでも見ていた。




『美幸…俺のこと…好き?』




何を考えてこんな質問をしたのかな?
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