恋愛一色
『そうね?』


美幸はまた笑顔で俺に話した。


また俺に恐怖が襲う。



『あっ出てきたわよ』


美幸が病院を指差して言った。


俺も病院を見ると、病院の中から遥斗と菊地が肩を並べて歩いてきた。



その光景を見たら嬉しくなってしまう。



『遥斗、菊地に逢えたんだな!良かったじゃん』


遥斗はとても嬉しそうな笑顔を見せた。


やっぱり人はこうなるんだな。
好きな人の隣にいたら、自然に笑顔で溢れて、幸せな時を過ごす。


やっぱり…人間はこうなっているんだ。



『さぁ、明日は学校だし早く帰るわよ!』



美幸は俺達を乗せて病院を後にした。

そして遥斗と菊地を送っていき、最後は俺だ。



『美幸、話って何だったの?』



結局、美幸から何も話を聞いていなかった。


『また今度にするわ』



『そっか。分かった。おやすみ』



俺はこう言って美幸の唇に自分の唇を当てた。



…これが…



最後のキスとなった─…
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