恋愛一色
勢いよく屋上に繋がるドアを開けると、屋上には遥斗と菊地がいた。



『どうした!?』



遥斗は驚いた顔をし、俺を見てくる。


遥斗の顔を見たら、また胸が苦しくなった。



俺は黙って遥斗に携帯を差し出した。



『美幸から…』



遥斗に携帯を渡すと力が抜けたのか、地面に座り込んでしまった。


携帯を見る遥斗の表情がだんだんと曇っていく。


『どういう意味?まさか響、俺を驚かせようとしてるんだろ?冗談はやめろよな』



…冗談じゃないんだ…
本当なんだ…



俺は視線を地面に落としたまま口を開こうとしない。
遥斗の質問に答えることは出来なかった。



遥斗は俺の肩を揺さぶった。



『…俺…何かしたかな…?』



やっとの思いで俺は声が出るようになった。
だけど俺から出た言葉は…とても悲しい言葉。



空はこんなにも快晴なのに…俺の心はもう真っ暗だった─…
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