恋愛一色
遥斗は心配した口調で俺にこう言った。



『…心当たりとかないわけ?』




ないと言ったら嘘になる。
確かに最近連絡をあまり取っていなかったが、昨日美幸は俺のことを『好き』と言ってくれた。


俺は安心しきっていたのかな?



『昨日だって…笑顔で別れのキスしたのに…こんなこという態度とかなかったのに…どうしてだよ…』



涙は地面を濡らしていく。そして瞳から出た涙は必ず最初に落ちた場所へとまた落ちていく。



美幸が昨日話したかった話は…もしかして別れ話だったのかもしれない。


『理由とか聞いてみろよ…?』



今度は優しい口調で遥斗は言った。



『聞けるかよ…』



聞けるわけない。
聞いたりしたら、もう一度このメールの言葉を言われそうだから。



すると、そんな俺達を近くで見ていた菊地が俺に近づいた。
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