恋愛一色
『沢村君…理由を聞いた方が自分のためだよ?』


菊地の声が弱くなった俺の心を癒やしていく。


俺は首を横に振った。



『俺…美幸になにしたかな?嫌われるような…こと…したかな?』



俺は途切れ途切れに遥斗に言った。


目に溜まった涙は頬を伝って流れていく。



どうして涙は流れる?
頼んでなんかいないのに、どうして流れるのだろうか。


まるで俺の弱い部分を流してくれているみたいだった。



『響、待ってろ』



遥斗は急に立ち上がり、勢いよく屋上から飛び出していった。



屋上に残るのは俺と菊地。
女の子にこんなみっともない姿を見せるわけにはいかないと思い、俺は菊地に背を向けた。



『…沢村君はその人のこと好きなの?今でも』



すると菊地が俺の肩にそっと手を置き、耳元で囁いた。





『…好きすぎる』





俺はまだ美幸を好きすぎる。



好きすぎてどうにかなりそうだった─…
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