恋愛一色
~第十章・精一杯~
俺は心に決めた。
『もう一度美幸に気持ちを伝える』って。
でもどれだけアピールをしても…メールや電話をしても、美幸は俺を避け続けた。


その度、俺は深いため息をし、涙を流す。


『弱いな』と自分を責める。

でもそんな時は遥斗に教えてもらったように、空を見上げる。
そうすれば、また頑張ろうと思えるから。



美幸は相変わらずで、俺と目が合ってもすぐに逸らす。
あまり関わらないようにしているみたいだ。

美幸の日本史の授業を俺は毎回寝ずに聞いていた。


美幸の声が、俺をそうさせるんだ。



世界には、向日葵が咲き始め、空には入道雲を浮かべる。

太陽は春よりも秋よりも、冬よりも熱くなり、地上を照らす。



そう、この世界に夏がやってきたのだ。


蝉の鳴き声が煩い中、俺はつまらない毎日を送っていた。


そんなある日、遥斗が俺にこう尋ねてきた。
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