恋愛一色
ほんのりと赤い頬、額には冷えピタ、そして少し潤んだ瞳の君。


そんな姿を見たら蝉の鳴き声と同じくらい心臓が煩く鳴り始めた。


『…どうしたの?学校は?』



美幸は一瞬だけ俺の目を見たがすぐに視線を逸らした。



『学校より美幸の方が心配に決まってんじゃん』

俺は真っ直ぐ美幸を見て言った。


美幸は『入って』と俺に指示をし、冷蔵庫から麦茶を取り出した。



美幸の部屋に入るとエアコンがついているのか涼しかった。
…何も変わっていなかった。あの頃と同じ。


大きなダブルベッドや、赤と白で統一された部屋はあの頃のままだった。


美幸は麦茶の入ったグラスを俺に渡し、ベッドに座った。



『…私は大丈夫だから帰りなさい』



冷たくいい放す美幸。
ねぇ、何故俺の目を見ないの?



『嫌だ。帰らない。』



拒む俺。
俺の発言を聞いた美幸は困った表情を見せた。
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