恋愛一色
俺は遥斗に今の状況を話していく。


『じゃあ上手くいったわけ?』



この質問の答えに俺は困ってしまう。
うまくいってない…けどうまくいって欲しい…



『遥斗?お前覚えてるか?』



『何を?』



『泣くときは空を見上げて泣けって言ってくれたよな?いいものがもらえるって言っただろ?』



俺は木の間から覗く太陽を見上げた。
すると瞳から一粒の涙が零れた。


悲しいからとか、寂しいからとか…そんな理由じゃない。
ただ…世界が綺麗だったから─…



『あの時見た世界がさ…今まで見たことがない世界だったんだ…』



俺は鼻をすすり、遥斗に伝えていく。


『響…泣いているのか?』



遥斗はなんでも分かるんだな。俺のこと…


いつか遥斗にもこんなにも綺麗な空が見えるといいな…
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