恋愛一色
俺は近くに転がっていた空き缶を蹴った。
コロコロと転がっていく空き缶。
その空き缶は太陽に反射し、眩しく輝いた。



『…伝わるといいな、お前の想い』



俺は遥斗の言葉に大きく頷いた。



『遥斗、俺さ…この想い伝わらなくてもちゃんと伝えるから。後悔しないように…好きだって言う』


俺は小さく笑い、遥斗に誓った。


『そうだな。お前の連絡待ってるよ』



『さんきゅ…遥斗…』



俺はもう一度空を見上げ、『頑張るよ』と小さく呟き、歩き出した。



もし結果がだめでも、俺は後悔しないよ。

さっきの空き缶のように、ゴミでも輝くことが出来るなら、フラれた俺でもきっと輝くことは出来るからさ。



俺はコンビニで買ったものが入っている袋を振り回し美幸がいる部屋に向かう。


鍵を開け部屋に入ると、君は気持ちよさそうに眠っていたね。



まるで王子様の口づけを待っているお姫様のように─…
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