恋愛一色
『…美幸、聞いて欲しいんだ…』



俺は美幸の手をぎゅっと握り、静かに話し始めた。
美幸はこくんと頷き俺の話に耳を傾けてくれた。


『俺…正直まだ別れに納得出来てなくて…まだ美幸のこと忘れてない』



『うん…』



時計のチクタクという不思議な音や、蝉の鳴き声さえ俺の耳に入ってこない。
感じるのは美幸の温もりだけ。






『…美幸…好き…』




俺は小さく呟く。
美幸を見ると、美幸の頬がみるみるうちに赤く染まっていく。

まだ熱があるのかな?と思い、額に手を当てた。


『…熱まだあるんじゃない?』



こう言うと美幸は俺の手を額から離した。



『大丈夫よ…』


美幸は冷たい口調で俺に言った。


俺の顔が次第に曇っていく。


『美幸はどう思う?俺は美幸が好き。大好きだよ』


もう一度美幸の瞳を見て真剣に言った。






…俺の声、届いたかな?
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