恋愛一色
美幸は困った表情を見せる。そして口を開きこう言った。



『響君の気持ちは本当に嬉しい…まさか今日来てくれるなんて思っていなかったから…余計にね』


美幸も俺の手を握り返してくれた。


『…うん…』



俺は静かに美幸の話を聞いていく。



『私のことを先生じゃなくって、まだ美幸って呼んでくれるのも凄く嬉しい…』



すると美幸の瞳から滴が一粒落ちた。


その滴は俺の手の甲に落ち、弾いた。



『美幸…』



俺は美幸の頭をゆっくりと撫でてあげた。


愛しい気持ちが膨らんでいく。
抱きしめたいという気持ちが膨らんでいく。



また君と一緒に歩みたいよ。



でも…この時、俺の願いは叶わなかった。





『時間が欲しいの。ちゃんと答えを出すから…今週の日曜日…答えを言うわ』







美幸は何故この時《日曜日》と言ったの?



もしかして美幸はこの先に起こる全てのことを把握していたの─…?
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