恋愛一色
俺は美幸の言葉に疑いを抱いた。


捨てた?捨てたって何?



『捨てた…?』



『そう、先生は私を捨てたの。私と別れた後にすぐ結婚をしたわ。そこの学校にいた新米の先生と。先生が私に言った別れの言葉わね?』



美幸の瞳が潤っていく。そしてテーブルに置いてあった紙ナフキンで涙を拭いた。



『もし私たちの関係が世間にバレた時、私の将来が心配だって言ったの…私は好きならいいじゃないかって言った…でも好きだけじゃダメだって…』



止まらずに次々に美幸の瞳から流れ落ちる涙。
紙ナフキンでは間に合わなかったのか、涙がテーブルの上に落ちていく。

俺はそんな光景を静かに見ていた。



美幸の言葉が俺をおかしくさせていく。



『でもね、その時先生が言った言葉が今ようやく分かった…響君と恋愛して、分かったの…』
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