恋愛一色
『…別れた彼女の色…』


『そうだね、多分そうだと思うよ。でもその色はいつか変わるかもしれない。一年後には違う人の色になっているかもしれない。響君は別れたばかりだからその人の色になっているのかもね』



光輝さんの言葉が、傷ついた心を癒やしていく。

もし今の美幸の色が変わったとしても…俺は美幸を忘れないだろう。



『…変わって欲しくない…この色…』



俺は胸に手を当ててこう言った。




『時間が必要かもしれないね。もし一年、二年経ってもその人の色のままだったら、伝えに行くべきだよ。俺は伝えたからさ。百合に』




光輝さんはカットが一通り終わったのか、俺をシャワー台に案内をし、髪の毛を丁寧に洗ってくれた。

俺はその間、光輝さんが言った言葉を思い出していた。




…ずっとこのまま、美幸の色だったら…



もう一度気持ちを伝えにいこう──…必ず…
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